子宮筋腫・子宮内膜症

子宮筋腫とは

子宮筋腫は良性腫瘍のひとつで、子宮筋層の平滑筋に発生します。30〜40歳代女性の3~4人に1人に発症すると言われています。
腫瘍の発生原因は特定されていませんが、腫瘍が大きくなる際は卵巣ホルモンであるエストロゲンが関与しています。このため月経がある間は増大する可能性があり、閉経すると縮小します。
なお子宮筋腫のほとんどが子宮体部で発生し多発することがあります。筋腫が悪性化する可能性は低いですが、稀にがんである子宮肉腫と鑑別が困難なことがあります。

主な症状は月経血が多くなる過多月経です。発症初期の小さいうちに自覚症状がみられることは稀ですが、月経にかかわる子宮内膜にできた場合は小さくとも症状がでます。進行すると、過多月経による貧血のほか、不正出血、月経困難症、不妊、下腹部に腫瘤や痛み、腰痛、頻尿などの症状もみられるようになります。

検査では内診を行い、硬く腫大化したものが子宮で触れたという場合、超音波検査、CT、MRIなどによって腫瘤の有無を確認していきます。さらに他の病気の可能性を調べるため、血液検査や子宮がん検査をすることもあります。
超音波検査やMRI検査などで良性腫瘍の可能性が高く、症状も乏しい場合は経過観察になります。3~6ヵ月程度の間隔で超音波検査による検診を行います。

子宮筋腫によって引き起こされている症状を改善させたい場合は、薬物療法が行われます。貧血がある場合は鉄剤の内服や注射をします。また月経困難症がある場合は、ホルモン剤や鎮痛剤の内服をします。また閉経が近い場合や手術前の一時的使用では、女性ホルモンの分泌を抑える効果がある注射や点鼻薬や内服による偽閉経療法を行います。

また、筋腫がMRI検査で悪性が否定できない場合、薬物療法に効果が見られない場合、筋腫が増大し周辺臓器を圧迫して排尿障害や腰痛便秘など様々な症状が出ている場合は、手術療法になります。
妊娠を希望しないという場合は、多くは根治術として子宮の全摘術を行います。
なお将来的に妊娠を希望する場合には、筋腫だけを取り除いていく筋腫核出術となりますが、この場合は再発することもあります。
いずれも悪性のリスクや、大きさにより子宮鏡手術や腹腔鏡手術、開腹手術の適応を相談して適した施設に紹介します。

子宮内膜症

子宮内膜症は、本来は子宮内腔にしか存在しないはずの子宮内膜や子宮内膜様の組織が、何らかの原因で子宮内膜以外の場所で増殖する疾患です。
卵巣や卵管、子宮周囲の腹膜などに広がり、月経のたびに出血を繰り返すようになります。

原因は不明ですが、月経時に剥がれ落ちた子宮内膜の一部が、卵管を逆走して卵巣や腹部臓器に到達して増殖するという説が有力視されています。

子宮内膜症の代表的な症状は、ひどい月経痛であり、年齢とともに強くなっていく傾向があります。子宮内膜症は卵巣にできるとチョコレート嚢腫、子宮筋層内に発生すると子宮腺筋症といった名前で呼ばれます。
チョコレート嚢腫は良性疾患ですが、時に悪性に転じることもあるために、40歳以上の年齢や、4㎝以上の大きさがある場合には注意を要します。

検査法としては超音波検査や採血検査(腫瘍マーカー検査)、MRI検査があります。

治療に関しては、手術療法があります。また子宮内膜症治療薬、低用量ピル等の薬物療法がありますので、患者様の状態、妊娠の希望の有無などをうかがった上で治療を進めていきます。